河原温は見に行くべきか?

「河原 温 全体と部分1964-1995」という美術展が東京都現代美術館で開かれている。同美術館のホームページに情報がある。そこから一部引用。

(ここから引用)
河原温は、"Today"シリーズの絵画−<デイト・ペインティング>、すなわち日付の絵画として知られる連作によって、世界的に著名な美術家です。単色の地に、白い文字でただ日付を描いたこの連作は、1966年1月に開始され、今日まで−毎日ではないにせよ、少なくともひと月も欠かすことなく−30年以上にわたって描き続けられています。きわめて単純でストイックに見えるこの<デイト・ペインティング>は、しかしながら、日常的なものから宇宙的なものまで、あらゆるものを貫流し遍在する「時間」というものの得体の知れなさを語って余りあるものと言えるでしょう。
(引用ここまで)

さて僕はそれを見に行っていなくてこれを書いている。

「キャンバスに日付だけを延々描き続けている作家がいる」という話を僕が聞いたのはだいぶ前のこと。そのとき河原温の名前が出たかどうかは忘れた。ただ、その時ふと思ったこと。「それはすごい。しかしそれはもう見る必要がない。なぜなら、話を聞いてそのすごさが分かってしまったから。」

今、その作品を見に行ける状況で改めて考える。実際に見に行かないと作品の本質は分からないのだろうか。逆に、実際に見に行くと作品の本質が分からなくなる、なんてことはないのだろうか。

コンセプトしかない作品。そういうものを夢想する。

こういうキャンバスにこういう画材でこういう技術で塗りなさい。こういう所にこう飾りなさい。こういう評価を受けてこういう賞をもらいなさい。そういうすべての「習い性」を排除・忌避しまくったら何が残るだろう。それでも消えないものがあるとしたら、それがコンセプトなのだ、ということにはならないだろうか。コンセプトだけの音楽。コンセプトだけの絵画。コンセプトだけの小説。見る側も「俺はコンセプトだけしか鑑賞したくないんだ」と駄々をこねる。

そんなもの現実には存在していないとしても、たとえばこの河原温の作品なんかは、それに限りなく近いのではなかろうか、と勝手に想像しているのです。

さて、皆さんの考えはいかがでしょう。

1.ちゃんと美術館まで行くべきだ。
2.ホームページ見たから、もういいや。
3.ところで上の画像、ありゃ何だ!
(あれは絵画のコピーではなく、コンセプトのコピーです。よけい悪い?)


Junky
1998.2.18

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