哲学大陸・言葉ルート

犬は悲しまない、猫は困らない

赤ちゃんから例を犬や猫に代えましょう。人間のような言葉を絶対に持たないという前提です。そういう犬や猫には同じ景色も同じ部屋も人間とは全然違う世界に映っていることでしょう。なにしろ、リンゴを見ても、クラクションをきいても「林檎」「警笛」という言葉は決して浮かばないのですから。
犬がドッグフードを喜んで食べるように見えるときも、猫がけんかで傷ついて泣いているように見えるときも、やはり、人間にとっての「おいしい」とか「いたい」とは決定的に違うのです。空腹を哀れに思うこともなく、傷を負うことが困ったと思うこともないでしょう。空腹や痛みの神経が人間より弱いというのではありません。人間が感情を言葉で深めるようには、犬や猫は深めないということです。犬や猫は自分の死や仲間の死すら、人間どうしのようには怖がったり寂しがったりしないのではないでしょうか。
つまり、犬や猫は人間のような思考や感情を持たないということです。


戻る                  進む

街へ

あなたの考えも聞かせて下さい。junky@speed.co.jp
出発地へ