天動説としての「在日・帰化」論?=その5=





その4に戻る
ここまでの考えを整理しながら進めます。

日本国民と、在日コリアンの多くは、
日本社会の構成員としてたいして違いがないように思う。
だったら、日本国(政府)との関係においても、
その実質や定義に、
違いがあるよりは、違いがないほうがいいのではないか。

●日本国との関係の「実質」=参政権
(参政権だけでなく、たとえば日本国民が海外旅行などで行方不明になると、大使館などが心配する素振りをみせるように、在日コリアンがそうなっても同じ対応をする。逆に、国民の義務といったものを日本国民が求められるのならば、同じように在日コリアンも求められる。などなど)

●日本国との関係の「定義」=国籍

では、在日コリアンと日本国との関係は、どれがよいだろう。
1 まず実質だけを日本国民と同一にする=参政権の回復
2 実質と定義をともに日本国民と同一にする=参政権と日本国籍の回復
3 現状のまま

このシリーズは、結局、
1よりは2のほうがすっきりするなあ、という私の気持ちを、
あれこれ整理しているのかもしれない。
前回も、そのことを改めて確認した。
国籍なしに参政権だけが回復する、というのは、
やっぱりどうもチグハグな感じがするのだ。
*ただし「参政権だけでもとにかく回復を」と主張する運動に、
 あえて水を差したいわけではない。
*また「まず日本人になれ」「帰化せずして参政権などありえない」という主張とは、
 名目は一緒でも、その精神や前提はかなり違うと私自身は思っている。

ところが、
考えがまた揺り戻されて
1がまったくヘンでもないとするアクロバットが
ありえるかもしれない、と思いはじめた。
そのアクロバットとは、つまり、

●国籍を一国二制度にしてしまえ!ということだ。

たとえば中国で、
香港などが他の省とは異なる仕組みで運営されるのと似たようなこと。
在日コリアンの由来がやや複雑なのだから、
法がやや複雑になるのは、いたしかたない。
具体的には、「日本」という文字を一切使用せずに、
日本国籍と同等のものを法的に措定するということになろうか。
パスポートも別様のものを選択できる。効力は同じ。
などなど。
現行の国民が「一般国籍」とするならば、
在日コリアンは「特殊国籍」も選択できる、というようなこと。
(*この呼び名は差別的に響くだろうか?)

・・・とここまで考えたが、
参政権をのぞくと、
事実上そうなっているのかなという気もする。
(不十分ながら福祉とか教育とか納税とか?――正確には資料を当たってください)
ということはやっぱり、
在日コリアンにとって、事実上大きな意味のある変化は、
「とにかく参政権の回復を」というところに、戻ってくるのか。

う〜む。
しかし私の考えは、
「国籍なしの参政権」というのは「なんかヘンだ」というところから始まっている。
そして、今回の考えは、
「国籍なし参政権ありでOK」に戻ったのではない。
そうではなくて、
やっぱり「国籍あり参政権あり」がいいのだけれど、
その国籍を、
現在の「国籍A」とは違う形式の「国籍B」にするということだ。
でも、国籍としての意味や権利は特に変わらない。
きわめて意地悪くいうなら、
在日コリアンの気がすむような形式の国籍制度を、
現在の国籍制度と並べて実現したらどうか、ということだ。

これはこれでいろいろ納得できん、という声が
日本国民からも、在日コリアンからも出てくるのかもしれない。
また、これほど国籍にこだわらず、しかし国との関りは改善できる(日本国籍者も)、
別のアイディアも、実はなんとなく思いついた。
しかし、きょうはここまで。


Junky
2003.6.5

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