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だらだら話 5

  ヨガで体が柔らかくなりますか?
ヨガで体が柔らかくなりますか?

お答えは、Yes,but.....です。絶対に今よりは柔らかくなります。でも今日ちょっとやったからといって、すぐには柔らかくはなりません。私の例で言うと、ヨガに入る前は、かなり硬いほうでした。インドで習い始めたときも、いろんなことが出来なくて、先生の息子のフワさんに、あっちこっち引っ張ってもらったり大変でした。

    

今では、かなり柔らかくなっていますが、一般的なヨガの先生よりは、ずっと硬いと思います。章魚(たこ)のように柔らかい先生を、よく見かけますが、私はまだ人間並みのかたさをしっかり持っています。

    

ここで私の方からQ.A.のQ.を出させてください。
Q:何故からだを柔らかくしたいのですか?
A:・・・・・・・・・・??????
となるのが普通です。はっきりした理由はないのに、神話のように柔らかい体に憧れているという嫌いはないでしょうか。確かに体の柔らかいほうが、転んだりしたとき怪我をしにくいという利点はあります。が、それくらいしか考えつかないのじゃあないでしょうか。ここで、別の角度からみてみましょう。

体と心は密接な関係を持っています。体の硬い人は頑固な人が多いのです。あれ?ここで怒り出した人がいるんじゃないでしょうか。「私は体は硬いけれど頑固なんかじゃあありません。」と。怒らないで下さい。あくまで一般論を言っているのですから。あなたは例外なのでしょう。(小さい声で、、、、、、あらそうかしらと思って見ないところが、そもそも頑固のあらわれなのですがねえ。)

知人に、30台の男性がいました。文ちゃんという人です。体が硬いんのなんのって、極め付きでした。
「文ちゃん、ちょっと脚を前に伸ばして前屈してごらん。」
「はあい。」
「はい、前屈して。」
「はあい。」
「体を前に倒すのよ。」
「倒してるんですがねえ。」
「????????」
と、こういう調子でした。本人は前屈しているつもりでも、全く体は動かないのです。

    

この文ちゃんが、ひょっとした事から心の勉強を始めて、ずいぶん性質が変わって柔らかくなったのです。そしてある日ひょっと見かけたら、人並み近くに体を前屈しているではありませんか。これにはビックリしましたねえ。

考えてみると、頑固と言うのもその人にとって、そのときは、必要な性質だから、そうなっているのじゃあないでしょうか。そのひとを取り巻く環境が、それを必要としているから、その人は頑固なのだとおもいます。いわば精神的なバリアー(障壁)とでもいいましょうか。その環境(本人の精神状態をも含んで)を全然変えないで、頑固さだけを、ぱっととりはらったら、その人は、精神的に急に無防備になって、非常につらい状態に追い込まれるのではないでしょうか。体を急に柔らかくするというのも、同じような事です。第一、不可能なことですから、そんな心配は無いのですが。

    
    *この挿絵は遊びに来た高校生が描いてくれました

Q:じゃあ、体は柔らかくしようと思わないほうがいいのですか。
A:いいえ、そうじゃなくて、体は硬いより柔らかいほうがいいのですから、ヨガでもストレッチでもして、柔らかくしようとするのはいいことです。ただ、急には柔らかくはならないし、その方がいいんだということを、よく理解して、ゆっくりとした、効果を狙って焦らずにやっていただきたいのです。急激に体が柔らかくなったりしたら、心も変調を来たしておかしくなってしまうかもしれない、くらいに思って、「体よ、ゆっくり柔らかくなあれ。」といいながら、やってください。こんな調子で続けていたら、ある日、ふと気が付くと、自分で驚くくらい柔らかくなっているということに、きっとなるでしょう。

もう一つ、体や心を柔らかくするのと、リラックスが大きな関係を持っていることに注目してください。柔らかくするには、やたらに、筋肉や筋をひっぱても駄目なのです。緊張の間にたっぷりと弛緩を入れてやる必要があります。

残念だった事があります。ヨガのクラスに来ていた方で体のかなり硬い方がありました。そのかたが、ある日、体が柔らかくなっているのに気づかれて、大喜びをなさいました。ここまでは良かったのですが、柔らかくなったのは、アサナで体を伸ばしたからだと思って、もっと、そういうのを多くするストレッチヨガの教室に変わられました。決してそれだけでは無いのですがねえ。

    

ご存知のように、ヨガには体をくねくねにするような難しいアサナがあります。わたしの師事しているナンディー先生は、若い頃、難しいアサナが得意で、どのコンクールに出ても優勝するような人でした。先生が30台のとき、日本のフジテレビが、インドにアサナの上手なヨギ(ヨガをする人)を探しに来たことがありました。インドじゅうさがしたあげくに、ナンディーさんを見つけて、日本へ呼んで派手なショーをしたこともありました。今でも先生のうちにある写真には、「おいおい、どれが手でどれが脚だよう」と言いたくなるようなのもあります。

    

その先生が、いろいろ勉強や研究をなさった結果、今では、ごくごく基本的なものしか取り入れられません。その他はショーのためのもので、健康には何ら関係が無いという意見です。毎年一回は、先生のところへ勉強にいきますが、年々、先生の使われるアサナが単純な物になっていきます。健康のためのヨガには、易しいアサナしか必要ではないということを、しっかりと理解してほしいと思います。

もう一つ言いたいのは、後屈のことです。「もっと、やわらかく曲がるようになりたい。」と言うかたは、ほとんど前屈しか考えていないようです。体というものには、バランスが大切です。右を使えば左も使う。前に曲げれば後ろにも、となるはずです。前には或る程度曲がるけれど、後ろはさっぱりという方が非常に多いのです。体の柔らかさを気にするなら、後ろへ曲げる事も考えていただきたいと思います。



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〈筆〉waikari bahchan=木村詩世